脾臓の腫瘤

脾臓の腫瘤の『2/3』は悪性腫瘍だと9/23の健康診断のところで話しました。

その後のおはなしです。

飼い主さんと手術をした場合のメリット・デメリット、手術を行わなかった場合のメリット・デメリットなどよくお話をしてから決断されました。

結果、手術で脾臓を摘出することになりました。

脾臓は血液に富んでいます。

そのため脾臓のできものは脆くて壊れやすく、『良性のできもの』でも裂けてお腹の中で大出血し、結果的に命を奪うこともあります。

脾臓の悪性腫瘍には、血管肉腫というものが多いのですが,とても極悪で転移も早く、嫌なガンです。

どちらの場合でも摘出しておくことは、良いことが多いです。

今回の子の病理検査の結果は『良性のできもの』でした。

一安心です。

病気について

避妊手術

8/31に犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍のタイトルで避妊手術のメリットをお話しましたが 

先日、うちの手鞠も生後6ヶ月を過ぎましたので避妊手術をうけました。

術後はさすがにおとなしくしていましたが、翌日にはボールを持ってきて投げろ、投げろと元気にしていました。

ゴールデンレトリバーは関節疾患が多いので、過栄養にならないように細めに育ててきました。

避妊後にはホルモンバランスの変化で太りやすくなるというデメリットがあります。そのため今年の8月に出たばかりの避妊した子用のフードを食べて肥満のリスクとホルモンバランスに配慮しています。

あと麻酔がかかっているついでに手鞠にはライフチップバイオサーモを挿入してあげました。 これで安心です。

手鞠がつけているものは、浮き輪ではなく傷をなめられないようにするものです。

サイズは少し大きすぎなのですが、本人には問題ないようです。

病気について

健康診断

今日は定期的な健康診断の重要性についてお話します。僕自身も再認識しました。

というのもこれは先日あった事なのですが。

ある10歳の小型犬のワンちゃんが、急に水を大量に飲むようになったとお電話がありました。

一日の飲水量を測っていただき、やはり多すぎるので身体検査、血液検査、レントゲン検査をおこないました。

その気になる飲み水の量が増える病気は、たくさんある病気のなかで検査の結果、副腎皮質機能亢進症というホルモン性の病気であることがわかりました。

ただ今回は目的としたもの以外で腹部のレントゲン検査の結果、お腹の中が少しおかしいぞということで腹部超音波検査にすすみ全体を観察したところ、脾臓という臓器に30mmぐらいの塊がみつかりました。

脾臓のできものの3分の2は悪性腫瘍です。なかなか症状が出ないので、発見は遅れがちです。

普段の様子の変化(元気・食欲・排便・排尿)や体の表面の変化(皮膚腫瘍など)は、よく見られている方ははやくに連れてこられます。

しかし検査を行わないと見ることができないものに関しては、定期的に検診を受けられることで早期発見につながります。

お知らせ

犬の歯石

今回はワンちゃんの歯石についてお話します。

8月15日に『歯周病を防ぐ』でお話しましたが、歯磨きをしないと歯垢がたまり歯石になります。歯石がドンドンたまると下の子のような事になってしまいます。この子は口からかなりの量の出血があり来院しました。歯の根っこに膿をもつ事もあります。痛みも強く、食欲も無くなってしまいます。もちろん口臭もすごいです。

結局、この子は歯をあまり残してあげることができませんでした。それでも悪い歯が無くなった事で、以前より元気になったとのことです。

みなさん、歯を磨いてあげましょう。

茶色のかたまりはすべて歯石です。

病気について

ライフチップに関して

当院でライフチップの取り扱いを開始いたしました。

身元情報のキーとなる固有のID番号が書き込まれたマイクロチップをペットの皮膚の下に埋め込み、専用の読み取り器で個体を識別します。

素材も安心なもので、予防注射の要領で皮下に埋め込みます。体の中を移動しないように作られていて、生涯を通して有効に作られているそうです。

迷子、災害、誘拐、事故など『もしも』のときに確実な身元証明になりますし、海外渡航時には日本を含め動物検疫制度として義務化している国がほとんどです。

また当院で導入した『ライフチップバイオサーモ』は専用リーダーで読み取るだけで体温を測定する事ができます。おしりに体温計を入れることなく測れますので、嫌われる原因がひとつ減ります。

直径2ミリ、長さ13.5ミリと小さいですが、埋め込み処置時に痛がるのがかわいそうという飼い主さんには、避妊去勢手術の麻酔時に一緒に埋め込むという方法も取れます。

ライフチップの挿入を希望される方は事前に連絡をいただいてから来院してください。

                神戸セントラル動物病院 tel 078-271-2323

お知らせ

トリミング

トリミングについてのお知らせです。

10月からトリミングの受付が金・土・日曜日の週3日間に増えます。

ご予約が取りやすくなりましたので、ぜひご利用ください。

平日の皮膚疾患に対する薬浴は変わらずお受けいたしますので、こちらもご利用ください。

お知らせ

犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍2

◆乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は雌犬の全腫瘍の約50%といわれるほどかかりやすい病気です。 猫の乳腺腫瘍の85%が乳がんといわれるのに対して、犬の場合、「良性」と「悪性」の比率は50%ずつであります。さらに、その「悪性腫瘍」のうち半分があちこちに転移をおこし、その半分は非常にゆっくり転移するものといわれています。ということは、ものすごく極悪のものは25%の乳腺腫瘍になります。

研究報告によれば、初発情前に避妊手術を受けた雌犬が乳腺腫瘍になる確率は、避妊手術を受けていない雌犬の約0、05%。また、初発情と二回目の発情のあいだに避妊手術を受けた場合は約8%。発情二回目と三回目のあいだに避妊手術を受けた場合は約26%となっています。簡単に言えば、小さいうちに避妊手術をしたほうが乳腺腫瘍になりにくいという報告です。

治療

腫瘍の治療には、腫瘍組織の外科的な切除手術のほか、放射線治療、抗がん剤治療、免疫療法などいくつかあります。腫瘍の種類や発現部位、転移の状況などによって、適切な手段を組み合わせて実施していくことになります。

ご自宅では

週に一度は、女の子の場合はワンちゃんの腋の下から内股まで、ていねいになでてあげて小さなシコリができていないかどうか、チェックしてあげてください。たとえ悪性の乳腺腫瘍でも早期発見・早期治療ができれば根治する確率は非常に高くなります。

早期発見・早期治療が、がん治療には重要です。

拡張した子宮によりお腹がパンパンです。乳腺腫瘍が左の第3乳頭から第5乳頭までと右の第5乳頭付近にできています。かなり大きくなっていますので、切除範囲も広がります。術前検査では転移が認められませんでした。乳腺腫瘍は全身状態を考慮して腫瘍周囲を摘出しました。病理検査の結果でまた今後の治療方針を決定します。

病気について

犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍1

先日、子宮蓄膿症と乳腺腫瘍の摘出手術をおこないました。今日は避妊していない女の子に多いこの2つの病気についてお話します。

◆子宮蓄膿症

中高齢期の雌犬に多くみられます。この病気は、子宮内に侵入した大腸菌などのバイ菌によってひきおこされる病気です。子宮内は体の免疫のおかげでバイ菌はいない状態ですが、体の免疫力と性周期のバランスが悪いと子宮の内膜が炎症をおこし(子宮内膜炎)、さらに化膿がひどくなり、膿がたまっていく(子宮蓄膿症)になります。大腸菌などが出すたくさんの毒素が体内にまわって、腹膜炎や腎炎、肺水腫、さらに腎不全など多臓器不全で命を奪われることになります。

症状

・元気食欲がなくなる。

・熱がある。

・水をいっぱいのみ、おしっこをいっぱいするようになる。

・陰部からおりものが出ている。

・下腹部が張っている。

治療

子宮蓄膿症になれば、体内に毒素がまわらないうちに、できるだけ早く外科手術で子宮と卵巣を摘出するのがもっとも確かな治療法です。  

今回手術した子は12歳の小型のワンちゃんです。

術前の体重は5.3kgでした。そしてこの摘出した卵巣と子宮は2.1kgもありました。なんと体重の約半分が、ウミで膨れた子宮であったことは驚きですね。この子は陰部からおりものとして外へ出てこなかったので、これだけ子宮が膨らんでしまいました。もしお腹の中で破裂していたら、大変なことです。

病気について

猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルス

今回は猫白血病ウイルス感染症(FeLV)と猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)についてお話します。

◆猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は感染しているネコちゃんとの密接な接触によってうつります。感染の危険度は年齢や生活様式によって異なりますが、感染猫との同居、あるいは外でのケンカで感染します。

FeLVに感染すると、はじめは一見健康そうに見えますが、次第に元気がなくなってきます。免疫力が低下するので口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、またリンパ腫や白血病など致命的な病気を伴い最後は亡くなってしまいます。

◆猫免疫不全ウイルス感染症はエイズ症状と似ているために猫エイズとも呼ばれています。感染しているネコちゃんとのケンカで噛まれたりすることでうつる事が多いです。

FIVに感染するとこちらもはじめは元気そうに見えますが、次第に元気が無くなっていきます。免疫力が低下するのであらゆる感染症に抵抗できなくなり、口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、感染末期には人間のエイズのような症状が現れ、最後には亡くなってしまいます。

◆治療

FeLVとFIVともに現時点で有効な治療法がなく、感染したことがわかった場合には発症をおくらせる管理や症状に応じた治療をしていくことになります。

◆予防

FeLVには以前からワクチンがありました。FIVに関しても日本でのワクチン接種が8月から可能になりました。

ともに一度感染し発症すると、治すことができない病気です。お外に出る子で予防を受けている子が多くなれば、感染するネコちゃんの数が減っていきます。お外に出ている子やすでに感染している子と同居している子を守るためには是非予防を考えてください。

病気について

トリミング

トリミングについてお知らせします。

現在日曜日のみトリミングを行っています。若干込み合っていまして予約がとりづらい状況でご迷惑をおかけしています。

当院でのトリミングは、動物病院併設のためシャンプーやカットの前に獣医師による身体検査を実施しています。高齢な子や疾患を抱えている子(たとえば心臓疾患)はご相談ください。十分な配慮を行いたいと思います。またトリミング終了時にはトリミングカードをお渡しいたしますので健康管理にお役立てください。

平日は12時から16時の間に予約制で、皮膚疾患に対しての薬浴シャンプーをおこなっていますのでご利用ください。

うちの手鞠は皮膚が弱いようで湿疹ができやすいです。

いまは、2週間に1度の薬浴シャンプーで落ち着いています。

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