犬の胆嚢粘液瘤と胆管肝炎

胆嚢というさらさらした消化液をため込む袋がゼリー状のネバネバの物に置き換わってしまうことが始まりで肝炎を起こしてしまったわんちゃん。

胆管肝炎の進行を抑え、胆嚢破裂などを防ぐために胆のう摘出手術を行いました。

手術は無事に終わりました。胆管肝炎が落ち着いてくれるか、よくよく経過を見ていきましょう。

中年齢以降に発生しやすい胆嚢疾患を発見するためには、エコー検査が必須になります。

健診の重要性ですね。

肝臓疾患などは手術中の出血のリスクが高いです。当院では癌疾患やハイリスク症例には血液凝固能(PT、APTT)を測定することも含めた術前検査を行って万が一の時に備えております。

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外科

皮下陰睾

正常な位置にいない精巣は将来ガン化するリスクが高くあります。

触診で異常な形態になっている場合は、大変です。

仔犬の時期から獣医師によく相談されることをお勧めします。

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 両側鼡径部の皮下にいびつな精巣が認められます。

腫瘍

猫の避妊・去勢手術

春が近くなり、本日の手術はねこちゃんの去勢手術と避妊手術でした。

それぞれ別の家庭の子ですが、それぞれのドラマがあります。

去勢手術を行った男の子は、体重100gほどの小さな体でビニール袋に入れられ放置されていたところを現在の家族の方が保護されました。

ミルク、排泄のケアを数時間おきにして育てられました。最初はなかなかミルクを飲まなかったりで通院され、また便秘で排便がなく浣腸に通ってもらったりなどし今では健康に発育中ですね。職場にも一緒に通い、専用のケージで仕事中はお留守番、夜は一緒のお布団で寝ているということで本当に大事にされています。

手術当日は食事を抜かなければならないので、家族全員で今日の朝ごはんを絶食するというすばらしいチームワークです。

家族の方にとって日常ではない手術の日、日常になっている私はご家族の気持ちを背負ってしっかりやりたいと思います。

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家族の方に頂いたチューリップ。途中まで書いてアップせずにいたらきれいな花が咲きました。ありがとうございました。

ブログ

雌猫の尿道内結石

年末の手術は緊急症例が多いですね。

本日の手術は女の子の猫ちゃんの尿道内に詰まった結石の摘出でした。何度も排尿姿勢を取りつつも尿が出ないため、膀胱がパンパンでとても苦しい状況でした。

家族の方も一睡もできずに見守っていたようです。既に基礎疾患を持っている猫ちゃんですので麻酔管理も万全に行いました。

先ほどしっかりと尿道内にあった結石を腹腔鏡補助下で無事に終了しました。

わたしは雌ねこちゃんの外尿道口を内側から見たのは初めてでした。ここまでカメラで確認できれば石の取り残しなど起こるはずもなく大変安心です。術後管理がんばりましょう。STILL IMAGE

外科, 腹腔鏡手術

胆嚢粘液瘤

胆嚢粘液瘤とは

犬の胆嚢という肝臓についている袋(さらさらとした消化液をためる)がゼリー状の物体で満たされ、

最悪の場合には破裂する、もしくは胆道がつまるなど生命に関わる可能性のある病気です。

当院では中年齢以降のわんちゃんでおこなった腹部エコー検査を含めた定期健診で発見されることが多いです。

健康診断で発見された場合は、わんちゃんの状態はとても元気で問題がないというケースも多いですが、問題発生を防ぐために事前に胆嚢を取ってしまう予防的手術を選択肢に提示しています。

先月参加したセミナーでイギリスの外科専門医の講師も症状が出てからの手術は救命率が下がりますので、症状がない時に胆のう摘出手術をすることをすすめておりました。

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画像は摘出した胆嚢。緑色のゼリー状物体で満たされています。

外科

椎間板ヘルニア

今日の神戸も冷え込んでいますね。

寒くなると椎間板ヘルニアの発生が増える気がします。

本日の夜オペは椎間板ヘルニアでした。

この病気の予防は難しいですね。

急性に発症します。今回は家族の方のフットワークが軽く、すぐにMRI検査を受けてきてくださったおかげで迅速な対応ができました。手術は無事終わりましたのでリハビリ含めて頑張りましょう。画像はマヒを起こす原因となった椎間板物質です。

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外科

猫の肉腫

 先日2頭の猫ちゃんが、体に何かできているとのことで来院されました。

触診、細胞診、レントゲン検査などで悪性腫瘍を疑い手術となりました。

大きな手術は、ねこちゃんはもちろん家族の方の心も痛みます。

しかし皮膚のイボを取るのと腫瘍外科は大きく手術方法が異なりますので、可能な限り痛みを取る鎮痛、麻酔を考えています。

今回の2頭の猫ちゃんは大きく切ることが必要な手術でしたが、術後の経過がとても良く、食欲や元気がありました。

全ての子の手術で術後に食事をとってくれて、面会や退院時に安心しましたと言っていただけるような病院を目指しています。

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腫瘍

歯石除去

ときどき患者さんから耳にする『動物病院でない(獣医師ではない)所で歯石を取ってもらっていたんだけど・・・・・』と歯周炎がかなり進行し来院されるケースがあります。

どうやら無麻酔で歯がきれいになるといううたい文句らしいのです。

無麻酔でやるには力で頭や口を抑えながら無理やり口を開かなければなりませんでしょうし、鋭利な器具でエナメル質をガタガタに傷つけてしまうでしょうし、歯茎は器具にあたり出血も起こしてしまうでしょう。

とても動物愛護的な方法ではありません。

 

動物病院で歯科処置をする方法には麻酔が必要です。恐怖・痛みを無くし、処置の精度を高めるためです。

麻酔をかけると意識がないので恐怖心がない、歯周炎を起こしているので更なる痛みを感じにくいようにできる、安全に歯間や歯肉周囲の処置が早くできる、処置後に口を恐怖や痛みのあるまま触られていないのでホームケアでの歯磨きに移行しやすい。というメリットがあります。

また目に見えている大きな歯石だけを除去することは歯周炎の治療に全くなりません。歯と歯の間、歯周ポケットという大事な場所のケアをするのが一番の目的であり達成されなければなりません。しかしこれを安全に素早く痛みが無いようにするためには麻酔が必要です。

麻酔が必要ありませんよと不適切な方法をすすめて歯周炎を悪化させていては本末転倒です。

歯石除去をシャンプーなどと同列にコマーシャルするのはいかがなものでしょうか?

 

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写真はシャンプーと同時に歯石を無麻酔でとってもらっていた3歳のワンちゃん。

すでに重度の歯周炎をおこし、歯を支える組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨)が腐ってしまい、歯がぐらぐらしています。口に何か当たるとキャンと鳴くということで来院されました。全身麻酔下で歯間・歯周ポケットのスケーリング処置、歯茎再生成分の注入をおこないました。それでも歯周炎の改善がなければ顎骨保護や歯周病関連で起こる内臓疾患を防ぐために抜歯が必要となります。

歯科

外傷による骨折

整形外科症例が続きました。

当院の犬での骨折の患者さんは、小型犬でほぼ前肢の橈尺骨の骨折です。

今回の小型犬のワンちゃんは悲惨な事故での骨折で、前肢の上腕骨の骨折でした。

とてもかわいそうな事故でした。

骨折は手術が終わっても骨がつくまでは治っていませんので、動物や家族の方や執刀した獣医師の心配やストレスはしばらく続きます。

がんばりましょう!

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整形外科