最近ネコちゃんのおしっこに関する病気で入院する子が多いので、今回は猫下部尿路疾患(FLUTD)の一部についておはなしします。
この猫下部尿路疾患(FLUTD)とは膀胱から尿道におこる、いろいろな原因と症状を含む病気の総称です。今日退院したネコちゃんは初診時ペニスの先に栓子(結晶など)がつまりおしっこが24時間以上出ていなくて膀胱がパンパンになっていました。その結果、腎臓に負担がかかりすぎて急性腎不全になっていました。
さいわい、この子も先週の子も処置と治療に反応があり元気になり退院できました。先日ネコの結石症で載せた子は石が原因ですが、今回は石の手前の結晶が原因でした。
どうして結晶がつまるのか?
これは男の子のペニスの先端の尿道は細くなっています。さらにネコちゃんは砂漠の出身なので水分を大切にするからだの構造になっています。ですからおしっこを濃くします。濃い尿は膀胱の中で結晶を作りやすくなり、そして結晶ができた場合は尿道に詰まりやすいのです。
どうやったら予防できるのか?
まず食事です。これは個人差があるのですが、同じ食事を食べていても大丈夫な子もいれば、結晶ができて詰まる子もいます。できやすい子は尿路疾患用処方食などを食べることでリスクを減らします。次はなるべくお水を飲んでもらい、水分摂取量を増やす工夫です。蛇口から流れる水が好きな子もいれば、お風呂場の水が好きな子もいると思います。そして清潔なトイレをネコちゃんのお気に入りの場所に2箇所は作ってください。あまりおしっこをためこまない事で結晶もできにくいです。
どんな様子がサインなのか?
・おしっこの色が赤くないか。
・トイレの時間が長くないか。
・ペニスをよくなめていないか。
・いきんでいるが尿は出ているか。(便秘と間違われることが多いです。獣医師が触診すればすぐわかります。)
・おしっこするときに叫び声など奇声をあげる。
・トイレ以外の場所でおしっこをするようになった。
・落ち着きがなくなった。
・食欲が無く、もどしている。(これはかなり状態が悪化した様子です。至急処置が必要です。)
あまりにおしっこを出せていない時間が長いと命にかかわります。普段から様子を見てあげて、変化に気づいてあげてください。上に書いたことが気になるかたはおしっこ検査をしましょう。食事についてもアドバイスいたします。