- オス猫ちゃんが尿が出ないで来院されました。
- 数ヶ月前からトイレでの様子がおかしく食欲が無いとのことです。。
- 尿道カテーテルがペニス先端から1cmで全く入りません。
- 長期間の尿道栓子や炎症の結果、尿道内が狭作しているようです。
- すぐさま会陰尿道ろう造成術(おしっこ出口の改良)の緊急手術です。
- 尿が出ない状態は、生活できませんし、命にかかわります。
- 手術がすぐにできて回復も良好です。
膀胱鏡下膀胱結石摘出
膀胱鏡を使った手術は、通常の膀胱切開と異なり結石のサイズが5㎜であれば、5㎜の膀胱切開で行えます。
小さい切開の為に、術後に尿道カテーテルを留置したり、入院することはまずありませんのでストレスが少ないです。
術式も試行錯誤の結果、洗練されてきました。
シュウ酸カルシウムなど再発の多い結石の原因となる細かいカスも取り残さず良い結果が得られています。
画像では2症例載せています。大きく見える結石ですが、実際は5mm前後のサイズです。
出産
久しぶりに計画的帝王切開をしました。
母犬ちゃんも赤ちゃんも術後元気に哺乳中とのことで安心しました。
かわいい。
会陰ヘルニアと海外での検疫
少し前にうれしいメールが届きました。
患者さんが海外の自国へ無事帰国されたと連絡いただきました。
ただここに至る道はとても困難でした。
・このわんちゃんは会陰ヘルニア(過去手術しているが再発)で自力排便ができない。朝昼晩に浣腸液を入れて散歩中に排便介助する生活をしている。
・帰国1週間前に相談を受ける。
・帰国される国のルールで、1ヶ月間の検疫係留が必要。自立した生活ができないと検疫すら受けられない。
・友達や知り合いに里親になって貰えないかと声掛けされたが、高齢で要介護な10kgを超える犬の引き取り手は出てこない。
・1週間で会陰ヘルニアの手術を行い帰国させることは出来ない。
・残りの1週間で愛護団体にも断られた。
・飼い主さんは悲観して安楽死を希望されている。
タイムリミットも迫り選択肢がありません。状況は最悪です。ただ、私はやりたくない事はやらない主義なので安楽死はこのケースでは行いません。
里親探しも時間切れで、重苦しい雰囲気が診察室を覆います。
私からの提案で、これからこの子を私の子にする。そして会陰ヘルニアのオペをする。そして日本に迎えに来てくれたらこの子をお返しをする。
もしかしたら迎えに来てくれないかもという思いも少しありましたが、後悔のない1番良い方法に思えました。
そしてこの子を譲り受けてすぐにポリプロピレンメッシュによる両側会陰ヘルニア整復手術を終え、自力で排尿排便が行え1ヶ月間の検疫係留にも耐えられる健康状態です。
そして約半年後、日本に迎えに来てくれました。
飼主さんもわんちゃんもとても喜んでくれました。
忙しい日々の仕事と並行しこのような事が重なると消耗します。知り合いの先生にもなかなかそれはできないねと言われると喜ばしく思いました。一方、事情も知らずに言いたい事だけ言う人やメリットが無いなど言う人もいました。
言うのは簡単、だけど行動する事が難しいのです。
何が出来るかは人によって違いますが、スキル、時間やお金をボランティア活動にかけられている方には頭が下がります。画像は頂いた写真です。元気でいますね。
腫瘍外科と電気メス
当院では腫瘍外科も多く行っております。
家族の方がスキンシップで発見していただくケースや診察中に見つかる事も多くあります。
腫瘍のタイプによりますが、外科手術は第一選択肢になる事が多いです。
その際にとても大きな力になってくれるのが、一般的な呼び名で電気メスなど医療器械です。
この機械を導入して一年以上経ちましたが、とても良い機械です。
皮膚の切開、止血、剥離と調整能力が高いので出血量もさらに少なく、術野を展開できます。
手術が綺麗に終えられることを理想としています。
それが実行できたときは、術後の動物の状態は良いです。
今後も動物の負担軽減につながる設備投資は考えています。
会陰ヘルニア
1年前に会陰ヘルニアと診断させていただいたワンちゃんが食欲元気が全くなく、尿も便も出ないとのことでぐったりして来院されました。
診察するとヘルニア部位に膀胱、前立腺と結腸が入り込み、尿道がねじれて尿道閉塞をおこし、急性腎障害も併発していました。
一般状態もかなり悪かったですが、救命するためには臓器の位置を適切に戻す必要があり、相談の結果手術を行いました。
手術内容は腹腔内陰睾摘出(両側腫瘍化)、結腸固定、精管固定(両側)、内閉鎖筋転移術(両側)、浅殿筋転移術(両側)と多岐にわたりました。術後は排尿機能に問題が生じているため今現在はケアを必要としますが、自立した食事と排便が行えるまでに回復しています。本日抜糸に来ていただきましたが、とても元気で安心しました。
会陰ヘルニアは文献によると性差関係なく発症するようですが、個人的には犬の未去勢雄での経験しかありません。繁殖を考えられていない場合、会陰ヘルニア予防に若い年齢での去勢手術は有効です。
二次口蓋裂
二次口蓋裂の子犬さんが来院されました。
口腔と鼻腔が直接連絡したままになっており、食事などが鼻腔に流れこんでくしゃみ、咳、鼻汁がでて、誤嚥性肺炎を起こす可能性が高いです。
成長を待っている間に誤嚥性肺炎を起こしてしまうかもしれませんので、早めの手術が望ましいです。
今回はダブルフラップ法で手術を行いました。
硬膜外麻酔
手術などでの強い痛みが、術後の回復を悪くするのは人と犬猫においても同じです。
手術の時の痛みを予防するにはいくつか方法がありますが、硬膜外麻酔によるペインコントロールについてご説明します。
硬膜外麻酔法は、全身投与に比べ局所における強力な鎮痛効果が得られ、使用する鎮痛薬の量が非常に少なくすみます。
デメリットは、毛刈りを背中にしますので発毛遅延がみられることもあります。排尿不全が起こる可能性がありますが多くの場合は24時間以内に解決されます。ネコちゃんでは脊髄の終点に当たる可能性がありますので神経障害のリスクがあるので注意が必要です。
当院で硬膜外麻酔は、後肢の整形外科(パテラ、レッグペルテス、前十字靭帯、骨折)、会陰ヘルニア整復術、会陰尿道瘻設置術、後肢の断脚術などの強い痛みを引き起こす外科手術の際は必ず行うようにしています。避妊手術など腹部外科にも適応可能ですのでご相談ください。
腹腔鏡下避妊手術のQ&A
当院では避妊手術の方法を開腹(一般的な方法)と腹腔鏡手術のどちらかで選んでもらっています。
腹腔鏡下避妊手術についてよく聞かれることにお答えします。
Q.2Kg以下のワンちゃんはできないと聞きました。
A.当院では小型犬のワンちゃんの手術実績が多く、1.5~2kg前後のワンちゃんの症例数が一番多いです。体重やサイズで手術できないとお断りしたことはありません。
この1年では 一番小さいサイズは、1.06kgのチワワちゃん、1.08kgのポメラニアンちゃんが小さかったです。反対に超大型犬は、セントバーナード犬の実績があります。
またネコちゃんも生後半年ぐらいですと2kg前後のことが多いですが、もちろんサイズに問題はございません。
Q.手術時間は長くなりますか?
A.当院での腹腔鏡下避妊手術の時間は30分とお伝えしています。
脂肪の少ないワンちゃんやネコちゃんですと20分前後で終わります。手術技術の向上と手術室の改良で時間短縮が可能となりました。さらなる進化を目指します。
Q.腹腔鏡手術は安全ですか?
A.すべての手術は十分な準備と十分な経験がないと行う資格がないと思っております。当院での腹腔鏡手術の結果、大きな問題を起こしたことはありません。開腹手術と比べておなかの中がよく見える方法です。剥離や切除後の微細な出血も見過ごしませんので、技術のある者が行えばより安全性は高いと思っております。
猫の事故による口蓋裂など
野良ネコちゃんが、元気食欲がないとのことで来院されました。
顔に大きな外傷を受けています。おそらく車との接触でしょう。
口蓋裂(上あご(口の蓋)に亀裂が生じてしまう)や眼球にも外傷があって、このままでは食事ができません。
幸いネコちゃんを保護してくれた方の今後のサポートがありましたので頑張って手術を受けてもらいました。