マダニからうつるバベシア症という病気

きょうは、マダニとマダニからうつる病気についてお話します。

先日はフィラリア予防で来院しているワンちゃんの体にマダニがついていました。

マダニが活発になってきました。

鼻のまわりや目のまわりに、”黒いイボ“ができたといって来院されることも多いです。

マダニはワンちゃん(人にも!)の体につくと、血を吸い始めます。マダニの体が吸った血液でパンパンになります。大きなわんちゃんであれば1匹のダニに吸血されても大したことはありませんが、大量に長期間、寄生されると貧血になることもあるでしょう。

神戸セントラル動物病院通信そしてマダニにおいてもっとも問題なのが、ワンちゃんの命にかかわる『バベシア』という病原体を伝播することにあります。

バベシアはマダニの吸血の際にワンちゃんの血管の中に入り、赤血球の中に寄生し、赤血球を破壊しながら増えていきます。そしてワンちゃんがひどい貧血になります。最悪、亡くなってしまうこともあります。

左の写真のピンクの丸いものが赤血球です。

その中にむらさき色のものが見えますか?これがバベシア・ギブソニーというものです。

このバベシアは、近畿地方の山野に生息するマダニに広く感染しています。

マダニは野山だけでなく、河川敷、公園、道端など、雑草が生えているところに多く生息していて、近くを通るワンちゃんやネコちゃん、イノシシ、ネズミやタヌキ、キツネなどの動物に寄生しようとします。

しかし残念なのですが、このバベシアを根治する治療薬も、感染を予防するワクチンもありません。治療薬はありますが、効果の問題・副作用の問題・再発の問題(治りません)などクリアできないことも多いのです。

特に良い治療がないものは、予防が一番大事です。

混合ワクチン・狂犬病ワクチン・フィラリア感染も良い治療が無く、感染すると症状が重篤なため予防が徹底されていますよね。

バベシアのワクチンはありませんが、マダニの吸血を防ぐためにフロントラインを1月に1回つけていただくことが予防につながります。

病気について

ゴールデンウィークの診療時間について

ゴールデンウィークの診療時間について問い合わせがありますのでお知らせします。

平日は通常どおりです。祝日は13時まで、火曜日は休診日です。なので特に変わりはございません。

5月3日(日)  9:00~12:00 16:00~18:00

5月4日(月)   9:00~13:00

5月5日(火) 休診日

5月6日(水) 9:00~13:00 

お薬、フードの注文は4月30日(木)までにお願いします。

ホテルの受付もしていますが、すでに満室の日もございますのでお電話で確認してください。

お知らせ

がん治療①

今日はガンと闘っているワンちゃんについてお話します。

このワンちゃんは膀胱がんの移行上皮癌と闘っています。

膀胱にもガンが出来ます。

血尿の症状に気がついて来院されることが多いです。

膀胱の腫瘍は、悪性の上皮ガンである移行上皮癌が多いです。

診断時には転移があったり、手術で切除が無理な場所であったりとイヤな腫瘍のひとつであります。

神戸セントラル動物病院通信

超音波検査で膀胱内に出来物をみつけました。

神戸セントラル動物病院通信 手術適応かどうか、各種検査を慎重に行います。

がん治療の3本柱は手術、放射線療法、化学療法です。

この子は手術を行い、術後に3週間に1回の化学療法(抗がん剤)と2日に1回の飲み薬の治療を行っています。

術後約半年になりましたが、体重も落ちず食欲もあります。

大きな副作用もでてきていません。

神戸セントラル動物病院通信

今回の抗がん治療を終えたじぃちゃん。

お姉さんを待つ顔がなんともかわいい。

腫瘍

たまねぎ中毒

神戸セントラル動物病院通信 今日はたまねぎ中毒についてお話します。

ワンちゃんやネコちゃんにタマネギを食べさせるとタマネギ中毒という病気になることはよく知られています。

しかしタマネギ中毒について誤解されている方もいらっしゃるようです。

先日も『すき焼きのネギを食べてしまった。先生、下痢するだけでしょ?』と電話で聞かれました。

タマネギ中毒は、タマネギ、ネギに含まれる酸化成分によって赤血球が傷害され、貧血を発症する病気です。

写真の→部分が赤血球が変形したハインツ小体というものです。

これができると赤血球は破壊されやすくなってしまいます。

食べてすぐに発症するわけではないです。一番ひどく症状が出るのは数日経ってからです。

赤血球が大量に溶血を起こし、貧血になります。

貧血になると、全身の細胞に十分な酸素を届けることが出来なくなります。ひどい場合は色々な臓器が障害を受けます。

みんな全ての子がタマネギ中毒を起こすかはわかりません。少しだけ食べてもダメな子もいれば、かなり食べても大丈夫な子もいるようです。

事前に大丈夫かどうかを知る方法はありません。

食べた直後であれば、どのようにするべきか獣医師さんに診てもらいましょう。

時間が経ってしまった場合は、貧血は起こっていないのかチェックしてもらいましょう。

病気について

1歳の誕生日

神戸セントラル動物病院通信今日はうちのアイドル手鞠ちゃんの1歳の誕生日です。

やんちゃと怖がりがセットになったまま1歳を迎えていますが、賢くもなってとてもかわいいです。

誕生日プレゼントに、おもちゃとワンニャンドック健康診断をあげました。

おもちゃは速攻で破壊し、ただの丸いボールになってしまいました。

ワンニャンドック健康診断の結果も異常がなく健康そのものです。

これからも手鞠のこともよろしくお願いします。

ブログ

『できもの』の検査

神戸セントラル動物病院通信今日は『できもの』の検査についてお話します。

『できもの』は大きく分けると『腫瘍のできもの』・『炎症のできもの』に分けることが出来ます。

『腫瘍の出来物』はさらに良性・悪性に分けられます。

検査は『できもの』に細い針をさして、針の中に入った細胞を染色して顕微鏡で観察。

表面がこすれているような『できもの』には、ガラスにこすりつけ染色して細胞を観察。

これを細胞診といいます。

痛みも少なく、すぐ検査ができるのがメリットです。

具体的な診断名まで出せる腫瘍性疾患もありますが、わかりづらいものも出てきます。

わからないものはもう少し大きな材料で検査を行うために、つまようじくらいの針で組織を取ったり、切除して病理検査を行ったりします。

からだの表面(皮膚)にできる腫瘍は、わんちゃんで1番多く、ねこちゃんでも2番目に多いのです。

たとえ悪性であっても、早めに対応することで事なきを得ることもあります。

犬種・猫種・性別によってできやすい腫瘍にも違いがあります。

たとえば・・・

    女の子はわきの下から股のところなどに乳腺腫瘍

    ボクサー、ゴールデン、パグは肥満細胞腫になりやすい!

など、ほかにもたくさんの腫瘍があります。

写真はワンちゃんの前足にできた1センチにも満たない小さなしこりを細胞診しました。

これは肥満細胞という特徴的な細胞がみられるので、肥満細胞腫と診断されます。

わんちゃん・ねこちゃんの体に何か『できもの・しこり』を見つけられた場合は検査をしてあげましょう。

日頃から体のすみずみまで触ってあげてください。

スキンシップが、とても大事ですね!!

腫瘍

ノミ

神戸セントラル動物病院通信 今日はノミについてお話します。

まだまだ寒い日が続きますが、本日来院したねこちゃんには元気なノミたくさんがついていました。

一般的には気温が13度あれば卵から成虫まで育ち、そして卵を産むというサイクルを繰り返します。

今日の神戸の気温は最低気温が8度、最高気温が12度でした。

それでもノミが増えているのは家が暖かいからですね。

今年の冬も何匹かノミを見ましたが、今日のはすごく大量で元気でした。

ノミはかゆいだけでなく、アレルギー性皮膚炎、貧血、瓜実条虫の媒介などを引き起こします。ヒトにも関連しますので予防は徹底したほうがいいですね。

予防は春から秋までで良いように思われますが、環境によっては年中必要なことがあります。

病気について

肛門嚢炎

神戸セントラル動物病院通信 今日は肛門嚢(こうもんのう)の病気についてお話します。

肛門嚢とは、ワンちゃん・ネコちゃんのお尻の穴の脇についている袋です。

この袋にはくさい臭いのする分泌物が入っています。これは、通常たまりすぎることなく袋から出ているものです。

しかしなんらかの原因でうまく出て行かずに溜まってしまったり、分泌が盛んな場合は、不快になってお尻を床にこすり付ける原因のひとつになります。また、袋に感染や炎症を起こして肛門嚢炎になり、皮膚が破けて穴が開いて膿が出たりと大変なことになる場合もあります。

お尻を気にしてこする場合は、『肛門嚢しぼり』をしてあげる必要があるかもしれません。写真のように時計で4時と8時のあたりにある肛門嚢を絞ります。出てこないのであれば、あまり無理をしないほうが良いかもしれません。

アレェ、出たかな?と絞りながら顔を近づけてはいけません。その瞬間に顔に浴びた先生もいらっしゃいました。

小型犬のわんちゃんとねこちゃんで肛門嚢炎を起こすことが多いですね。おしりを気にしていないかチェックしてみてください。

病気について

猫の糖尿病

今日はねこちゃんの糖尿病についてお話します。

糖尿病は血液中のブトウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。血糖値は1日の間に上がったり、下がったりしています。血糖値が高くなっても、その値を下げてくれるのがインスリンです。

このインスリンの働きが悪くなれば、血糖値は下がらなくなり、糖尿病になってしまうわけです。

インスリンが足りていないようであれば、インスリンの注射が必要になります。

ねこちゃんは興奮すると血糖値が高くなってしまいます。そのため糖尿病の診断に苦慮することもあります。

そして治療にインスリンのお注射を必要としない場合やインスリンのお注射が途中から必要でなくなることもありますので治療も難しいことがあります。

一方わんちゃんの糖尿病の診断は容易です。そしてほぼ100%インスリン注射が必要な糖尿病のタイプです。

インスリン注射の治療が主でなく、食事や飲み薬で治療可能かもしれない糖尿病は、太目のねこちゃんであることが多いです。

ヒトと同じように猫も肥満が糖尿病の危険因子であります。

肥満になるとこのインスリンの働きが阻害されます。そのため、肥満は糖尿病の原因となります。

見た目がかわいいからと太らせいてはいけません。初めはインスリンが必要なくても結果的に生涯のインスリン治療が必要になることがあります。

糖尿病で怖いものの一つは、尿の中にケトン体というものが出ている糖尿病性ケトアシドーシスという状態になった場合です。

これになるときは、糖尿病のほかにもうひとつ病気を持っています。やせていて食欲も無いことが多いです。

早急に、熱心な入院治療を施さなければ亡くなってしまいます。

当院にも糖尿病性ケトアシドーシスから抜け出して、インスリンのお注射を自宅で毎日家族の方にうたれている子がいます。

通常お注射はねこちゃんも嫌がります。

しかしなぜか糖尿病の子が家族の方に注射される場合は、じっーと嫌がりもせず受け入れていることが多いです。

お互いが信頼しあい、元気でいられるように。

そんな情景が診察をしていると思い浮かびます。

こんな家族を支えるために頑張ろうと、多少嫌なことがあっても思えてきます。

病気について